フォーカス: 文書管理とアーカイブ

think3 の PLM マーケティングマネージャーである Marco Franchi より、PLM システムに携わる人々、また利用する人々にとって大切なトピックである「技術文書、非技術文書を管理し、アーカイブする方法」について検証していきます。

 

企業が文書管理システムの導入決定をする理由は明らかです。それは、社員が必要な時に必要な文書を見つけられるようにするためです。しかし、「言うは易く行うは難し」という古いことわざのように、システムの導入はそう簡単ではなく、すぐにできるものではありません。

 

 

文書のアーカイブは精密科学ではなく、私が知る限り、一般的な学校の教科となったことはありません。長年の間、これは各社独自の手続きで行われ、その管理はいつもこの作業に責任を負う人物の「善意」に委ねられてきました。その結果、ある企業にとって適した方法は、他の企業には有効ではないかもしれず、アーカイブの方法にはそれこそ無限の方法が存在しています。

例えばアーカイブされる文書が、他のモデルへの外部参照を完全に保ったまま長時間編集しなければならない 3D CAD アセンブリのような非常に複雑なデジタルドキュメントである場合、この問題の解決はより難しくなっていきます。これらの文書は、その生涯の間、しばしば遠く離れた、ひょっとすると海外のオフィスにいるかもしれない別々の社員に何度も見直され、変更されるかもしれません。

共有ハードディスクにファイルを保存する一般的な方法だと、検索やその他の処理は簡単ではありません。通常この方法では、フォルダーの下にサブフォルダーをたくさん作成して文書を保存することになりますが、このような方法は良い方法とは言えません。つまり率直に言うと、ある観点では、この方法は、その表紙に(デジタルの世界ではメタデータと呼ばれる)いろいろな情報を手書きした、伝統的な紙製フォルダーを使用する文書管理よりも状況を悪化させています。それどころか、このような古典的なデジタル資料のアーカイブ方法では、システムの制約により使用できる文字数が限られている場合もあり、このようなケースでは名前を無理やり短くされたファイルやフォルダーの名前に頼るしかありません。さらにこの方法では、文書に対するアクセスを妨げるものは何も無いため、特定のモデルドキュメントへの同時アクセスを防ぐことはできません。

しかし、ファイル/フォルダーパラダイムを打開し、技術文書のアーカイブを容易にすることによって、最新の PLM アプリケーションは進化してきました。前回のニュースレターでは、私たちは構造化された情報、データ、プロセスを管理する PLM システムの能力について、幅広くお話ししてきました。今回は、文書管理について深く分析していきます。

実際に、最も幅広く利用されているテクニックである「ボールト」がどのように機能するのか見ていきましょう。

始めに言及すべきは、あるシステムが PLM システムと名乗るためには、デジタル文書を管理するための最新式のコアモジュールが含まれている必要があるという点です。さもなければ、製品ライフサイクルに関連するデータや、プロセス、資料をより良く管理しようとする、今までのいかなる議論も無駄になってしまいます。あらゆるソフトウェアを使って、様々なオフィス内で作成された CAD や Office のドキュメント、動画、画像などのすべての文書に対する強力な支援ツールを利用できることは、私たちの議論において、基本的で必須の前提です。

PLM システムの内部では、「ボールト」が文書のアーカイブに使用されるモジュールです。その実装には、例えば古典的なファイル/フォルダー構造中に BLOB(Binary Large Object) データベースとして実装する方法や、近代的なクラウドストレージ中に実装する方法などいくつかの方法があります。

どのような実装の場合でも、この「金庫」は共通のアクセスキーを持たないユーザーは直接アクセスすることができず、また、ユーザーはこの「金庫」内の文書が実際にはどこに保存されているかを知る必要も無い、ということが重要です。

ユーザーが文書を変更する必要があるたび、PLM システムは、その資料へのアクセスを許可する前に、ユーザーの ID を照合し、関係するアクセス権、モード(読み取り専用、変更可能かどうかなど)を確認します。ユーザーが「適切だ」と確認されれば、システムは「チェックアウト」の処理を行い、ボールト(金庫)から文書を引き出し、要求をしたユーザーのワークステーションにそのコピーを転送します。

ここで引き出された文書はネットワーク上でコピーされただけであることを強調しておきます。つまり、この文書の実体はボールトに残されたままだということです。システムはこの操作を記録しており、類似のアクセス権を持つ別のユーザーがボールトから全く同じ文書を引き出そうとした場合、この文書はすでに別のユーザーによってチェックアウトされていて、読み取り専用でのみ利用できることをそのユーザーに警告します。

一旦、最初のユーザーが変更を完了すると、ボールトに変更後の文書を転送します。この操作はチェックインと呼ばれ、その瞬間から文書は権限を持つ別のユーザーにも変更が可能になります。

最新の PLM システムでは、この仕組みはよくシステムに統合されており、ユーザーがその動作を意識する必要はありません。この仕組みはデータの機密性を保証しつつ、多くのユーザーによって同時に行われる編集作業から生じがちなズレを回避します。

セキュリティに関する前述の利点に加えて、ボールトはバックアップ操作を大幅に簡素化します。また、別のファイルを参照している CAD モデルのような構造化されたファイルもうまく取り扱うことができます。

最後に、大切なことですが、ボールトが構築されたテクノロジーはクラウドアプリケーションに完全に統合できるため、IT の将来に前途有望な手立てとなるでしょう。

では次回のトピックでお話ししましょう。