機能 TOP 10:アダプティブメジャー

今回も引き続き、ThinkDesign の操作性の良さと双方向性を際立たせている、すばらしい機能についてご紹介します。今月は、「アダプティブメジャー」に注目してみましょう。

 

製品設計における寸法は、ほとんどの場合プロジェクト開発の段階で決定したデータに従って決められます。そのため設計者には、作業途中の3次元モデルや2次元図面から直接寸法を測定したり推測したりすることのできるツールが必要です。

またそれらのツールは、設計者の作業を中断させ集中をそらせたり、ソフトのコマンドの実行を妨げたりしないように、CAD 設計ソフトと完全に統合している必要があります。

今回ご紹介するアダプティブメジャーという機能は、ThinkDesign の基本機能のひとつとしてコマンドと完全に統合されており、すべての ThinkDesign ユーザーにご利用いただける非常に優秀なツールです。また、3次元で作成されたモデルやアセンブリ、および2次元の図面に対しても使用可能です。

アダプティブメジャーの機能について
アダプティブメジャーは、ThinkDesign の各コマンド実行時にミニダイアログに数値を入力する際、右クリックをすることで表示されるコンテキストメニューより「アダプティブメジャーを有効にする」を選択するだけで、簡単に利用することができます。

モデルや図面などの作業中の資料から、長さ、直径、半径、角度、2点間の距離、選択した寸法からの数値の読み取りなど、様々な箇所の測定を行い、読み取った数値はミニダイアログにデータとして表示されます。

 

 

アダプティブメジャーの利点

ぜひ皆様に注目していただきたいアダプティブメジャーの利点を、いくつかご紹介いたします。アダプティブメジャーをご利用いただくことで、コマンドの実行を止めることなく数値入力の手間を省けるため、設計作業はより簡単に、より正確になります。

この利点は、アダプティブメジャーをパラメトリックな形状や関連付けフィーチャーに対して使うときにさらに発揮されます。具体的には、選択したソリッドのエッジや測定寸法と、その測定結果を使用するフィーチャーとの間に自動的に関連付けが行われます。

設計者は、時に部品の呼び寸法に関わる数値を変更して、軽量化や補強などをする必要があります。例えば、下図のようなロッドの溝部分の軽量化を例に挙げると、溝の深さとロッドの厚みを関連付けることで、フィレットの調整が行えます。

 

 

また、アダプティブメジャーを利用することで、測定した寸法を別の部品と関連付けることもできます。例えば、サポートの穴の直径をそれに付随するフランジの直径に関連付けたい場合、その穴の直径寸法に対しアダプティブメジャーを使用し、フランジのエッジを選択するだけで両方の数値が関連付けられます。さらには、数値のみがフランジに関連付けられるだけでなく、モデル上で関連する部分を分かりやすくするため、関連付けられた部分が「モデル構造」上にマークが付いた状態で表示されるようになります。

 

 

このようにして部品同士の関係を定義し、それぞれの数値化を迅速に行うことができます。部品の再定義が必要な際も、アダプティブメジャーのマークがミニダイアログ上に表示されているため、簡単に関係性のある部分の再定義や削除を行うことができます。

 

 

さらに、例えば先ほどのサポートの直径に 2 ミリの隙間を追加したい場合、アダプティブメジャーのダイアログ上で測定値を示す $ の付いた式に値を追加することができます。

 

 

この機能を使うことで、分かりにくい変数の利用や複雑な部品構造の把握に悩まされることなく、簡単にモデルフィーチャーの再定義ができ、また設計規則をフィーチャーに直接組み込むことができます。

また、「変数の作成」コマンドからは、スプレッドシート上で直接変数の作成や式の設定が行えます。スプレッドシートの「値」には、変数が適用された後の数値が表示されます。

ここまで様々な利点をご紹介させていただきましたが、これらすべての点により、アダプティブメジャーは、作業を簡略化し、間違いを無くし、簡単にモデルをパラメータ化することのできる、大変素晴らしい機能だと言えます。なお、より詳しい使用方法はコンテキストメニュー内の「ヘルプ」に記載されております。