機能 TOP 10:解析と品質チェック-パート2

今月はクオリティコントロールツールの概要をご紹介します。このツールを使用すれば、ThinkDesign で作成した3Dモデルの形状やその美しさを分析することができます。

 

前回の記事では、体積、寸法などのいくつかの幾何学的パラメーターに基づいてモデルの品質をチェックし、設計上の選択の良否を評価するためのいくつかの方法を説明しました。

今回の記事では、ThinkDesign で作成した3次元モデルの外観や形状の特徴の分析を行うツールについて紹介します。

今回ご紹介するツールは、多くの面を含んだ複雑な形状のモデルや、すぐに分析することが難しく、分析に時間が掛かるようなモデルに特に有効です。

このような解析を行う場合、モデルの形状の特徴を簡単に読み取れるように特別な表示を行うツールがあれば効果的です。

ツールの紹介に先立ち、形状の評価に役立つ、2つの曲面の間の「連続性」を定義します。まず単純化のため曲線について考えます。2曲線が端点を共有する場合、この2曲線は「位置連続」(G0) であるとします。また、この2点における接線の角度が同じである場合を「接線連続」(G1) とします。さらに曲率半径の値と符号が同じである場合を「曲率連続」(G2) とします。

そしてこの考え方を曲面に拡張します。共通の境界線で接している2つの曲面を考えたとき、2曲面が位置連続であった場合、共通の境界線の部分は尖っているように見えます。接線連続であった場合は、「丸みを帯びた」ように見えます。形状が不連続な部位は、表示モードをシェーディングにしてテセレーションパラメーターを増やせば発見することができ、これがモデルの視覚的評価の第1段階と言えるでしょう。

2つの曲面間の不連続な部分を解析するには、「ゼブラライン」という重要なツールを使用します。このツールでは、色付きの縞模様をモデル上に投影することができます。縞模様の表示は、オプションにより、特定の方向に入射する光線を表すもの(等照線)または、モデル上に縞模様のテクスチャーを反射させたもの(反射)を選択することができます。

このツールを使えば、形状の不連続な部分をすぐに発見することができます。下図の場合、縞模様がズレている部分で、形状も不連続になっています。

2面が接線連続な場合、縞模様はズレてはいませんが、接続する場所で折れて見えます。

曲面間の連続性が接線連続では希望の外観の要求を満たすのに不十分なことがあります。上記の例は、2面間の連続性は接線連続ですが、線分(曲率=0)と円弧(曲率=1/R)の間は曲率が連続しておらず、その場所はゼブララインによってはっきりと確認することができます。塗装、研磨、クロムめっきなどの処理を行った、外観が反射するモデルについて考える場合、曲率が連続していない場所ではモデル上に反射した周囲の画像もやはり不連続に見えます。

連続性が曲率連続の場合、ゼブララインはその道筋に沿って「連続している」ように見えます。また、ゼブララインは、丘や盆地などの領域や、曲率変化の少ない領域と多い領域を対比して確認したいときなどにも役に立ちます。

曲面の評価を行う場合、曲率の変化を色分けした図形で表示し、最大曲率で領域を表示して確認することもたいへん役に立ちます。「曲率マップ」や「最小曲率半径」といった解析機能を使うと、曲率や曲率半径の絶対値の最小値などの変化の様子を3次元形状の上に直接表示して確認することができます。

 

 

「曲率の符号」では、凹/凸な領域と平面領域を区別したり、また、くぼんだ領域や2重曲率の部位を確認したりすることができます。

 

 

金型の細部のモデリングでは、モデルの検査、評価のために「抜き勾配解析」ツールが必要です。このツールでは、分割線が表示される正確な場所を確認したり、抜き勾配が不十分な領域を確認したりすることができます。

 

 

現実の製品の生産過程では、モデルの形状が最終製品の品質に大いに影響を及ぼします。ここで紹介した各種の解析ツールのおかげで、設計中の製品の形状を素早く効果的に評価をすることができ、そのことは、品質を改善したり、生産時間を短縮させるために必要な調整や変更をタイミング良く実施したりといった活動に繋がります。