ThinkDesign の機能をさらに詳しく見ていきましょう。今月は３次元モデリングに注目していきます。

ThinkDesign に装備されている様々な３次元モデリング機能の中で最も評価の高い機能の１つが、グローバルシェイプモデリング（GSM）です。

GSM は、既存のモデルを修正したり、キャッピング機能を使用して新しい曲面を作成したり、修正した内容をコピーして他のモデルに適用したりするなど様々な機能を持ち合わせており、３次元モデリングに最適な機能であることに間違いありません。

GSM には、３次元形状を修正するためのとても優れた機能があります。この機能で修正することのできる要素は、必ずしも ThinkDesign で作成されたものである必要はありません。GSM では、他のソフトで作成されたソリッド、曲面、曲線、メッシュなどの要素を修正することが可能で、それらの要素は履歴または関連形状が無くても問題ありません。このように GSM はとても柔軟な機能のため、製品開発の進捗状況に関わらずいつでも適用して形状を変更することができます。

コマンドの実行速度や修正後の形状の精度の高さは、GSM の強みであり、そのことが、GSM を従来の手法とは格段に際立たせています。

GSM はすでに数多くのお客様にご活用いただいております。それらの機能は、お客様導入事例を通して今後の記事でご紹介してまいりますので、どうぞ楽しみにお待ちください。

それでは、GSM の「GSM ベンド」機能についてみていきましょう。
 
GSM ベンドの使い方

GSM は、モデルに対してではなく、モデルを含む空間に対して変形を行います。つまり、変形にあたって、対象の要素の作成手順やパラメーターなどは一切重要ではありません。

変形の条件にはどのように複雑なものでも使用できますが、特別なコマンドを使用すれば、平面のグリッドや空間上にある点を基準として、形状を曲げたり捩じったりと、モデルを簡単に、しかも自由自在に変更することができます。設計しながら形状に対しちょっとした修正を施すことができるため、望む形状にどんどん近づけることができるのです。

これは、製品のコンセプトを決める開発の初期段階において非常に有効な方法で、製品のさまざまな形状を検討する方法として最適であると言えます。

下図をご覧ください。これは、カメラのグリップのモデルを前方に曲げようとしている例です。この例のように、モデルがパラメトリックではなかったり、これから行いたい変更とは異なる方法で定義されていたりする場合、従来は形状を一から作成し直さなければなりませんでした。

しかし、このような難しい修正でも GSM の「GSM ベンド」機能を使用すれば、ほんの数秒で曲面間の連続性を保ちながらも、望む方向に形状を修正することができるのです。

このコマンドでは、コマンド内にあるクオリティチェックや近似オプションを使用すれば、形状を正確に制御することができるため、修正された形状は非常に正確です。そのため、修正されたモデルからすぐに試作品を作成したり、FEM シミュレーションに直接データを渡したりすることができます。

また解析コマンドの GSM 距離を使用すれば、下図のように修正前後の形状の変形量をカラーマップで正確に確認することもできます。

次に、ベースとなる上下面の特徴的な形状を保ったまま、部分的に２㎜程形状を伸ばしたいというケースを想定してください。この例のように形状の一部のみを変形したい場合、下図の青い点線のように、変形したい領域内に変形の向きを線として定義します。すると GSM は、その個所に対してのみ変形を適用します。この時コマンドの内部では、定義した青い点線の端点に作成した２枚の垂直な平面で形状をカットし、カットした範囲内で変形を行っています。

また、変形する領域と変形しない領域との接続方法には、位置連続から滑らかな曲率連続までの異なる連続性を選択することができ、例えばゼブラ解析を有効にしながら形状を変形すると、その接続の様子を確認することができます。

今まで何時間もかかっていたモデルの修正作業ですが、この機能を使用するとあっという間に完了してしまいます。このスピード感は、新製品の開発にとってとても魅力的なものです。

そしてまた、アドバンス GSM 機能では、修正したい部分と、位置や連続性を保ちたい部分を指定することによって、モデルの修正ルールをたいへん細かく定義することもできます。次回は、フリーフォームモデリングのサンプルを使用しながらGSM のさまざまな機能をさらにご紹介します。

それではまたお会いしましょう。