パラメトリックなソリッドモデリングでは、プロファイルやスイープ、スロット、穴、フィレットなど、システムが持っている一般的なフィーチャーをひたすら付け続けるという、とても単純な作業を繰り返しながら細部のデザインを作成していきます。
通常、設計者の仕事は、ある特定のプロジェクトを達成するために設定されたルールに従って構成されます。例えば、シャフトに接続されたキーのハウジングを作成しなければならないとしましょう。パラメトリックなモデルを作成する場合、ユーザーはまずキーのプロファイルを作成してからスイープし、次にハウジングのプロファイルを作成してから穴を開ける、というように、フィーチャーを追加する順番を考えながら形状を作成していきます。
つまり、設計者はシャフトにキーを追加するたびに、すべてのパラメーターを新しい場所に適するよう再度検討して作成し直すという一連の作業を、繰り返し行わなければならないのです。
また、ミスを避けたり細部に施すフィーチャーを標準化したりするためには、社内で定義された設計ルールを設計者全員で共有しなければなりません。
ルールが標準化され繰り返し使用できるようになれば、ユーザーはその時々で、ルールを適用する最適な手段を見つけるだけでよいのです。
スマートオブジェクト機能を使用すれば、複数のオブジェクトを組み合わせて1つのフィーチャーとして取り扱うことができるほか、ルールを作成してライブラリに整理し、何度でもそのルールを適用することができるようになります。
それではスマートオブジェクトを使用する利点を見ていきましょう。
次に ThinkDesign では、どのようなスマートオブジェクトを作成することができるか見ていきましょう。
ThinkDeisgn には、あらかじめスマートオブジェクトのサンプルがたくさん登録されています。これらのスマートオブジェクトは、すぐに使用することができることに加え、どのように作成されているのかを理解すると、新たにスマートオブジェクトを作成方法する際にも大いに役に立ちます。例えば「GenProfiles」には、形状やスロットを作成するための基準となるパラメトリックなプロファイルの一覧が含まれています。
「ConicEllispe」という楕円形状のプロファイルを見ていきましょう。このスマートオブジェクトを挿入してみると、設定済みのパラメーターを持つ形状が表示され、ユーザーはその寸法を自由に変更し、形状の大きさを調整することができます。また、原点や軸の向きを変更し、正確な向きに合わせることもできます。
スマートオブジェクトはパラメトリックな要素です。パラメーターは「スマートオブジェクト定義」ダイアログボックスで定義し、管理することができます。「スマートオブジェクト定義」ダイアログボックスでは、要素をより簡単に配置したり、次回使用する際に有効なパラメーターを定義したりするためのルールを登録することもできます。
例えば「ExtProfiles」には、構造用鋼で使用頻度の高いスイーププロファイルが含まれています。その中の「ExtrusionIPE_mm」をモデル内に挿入し「コンフィグレーション」項目をクリックしてみると、下図のように様々なサイズを選択することができます。
次の記事では、シャフトキーのハウジングをスマートオブジェクトで定義する方法を例として、スマートオブジェクトの機能をご紹介します。